ツーリン

16になった瞬間、免許を取って、かれこれ35年バイクに乗り続けていますが、誰かとつるんで走った記憶は、ほとんどありません。バイクは一人で乗るもので、人と一緒に走るというような

乗り方は発想自体しませんでした。もちろん、集団で走っている人達を見かけると、楽しそうだな、と少しは思いましたが、求めていないことはしないわけです。阿波踊りは楽しそうですが、やろうとは思わないのと同じです。


そんな私が、先月、今月と、立て続けに、人とつるんでバイクに乗りました。はい、あれです。



ツーリン......



ああ! 口に出すだけで、頬が火照ります。自分とは無縁な行為だと思っていただけに、こんな当たり前のように親しげに口にして、なんだかコロッと政治的転向をしてしまったような後ろめたさを感じます。でも、もう一度、頑張って言ってみよう、言わなければ話が進まないからな(深呼吸)



スーリン......



ああ、駄目だ! やっぱり恥ずかしい。口の中がカラカラになって声が掠れてしまった。困ったな。ドライブは言えるのにな......あ、もしかすると、この言葉(ツーリン)には、全くと言っていいほど陰がないためかもしれない。ほら、ドライブは行った先で、別れ話とか心中とかもやりますが、ツーリンで別れ話とかしませんでしょ? そんなことされたら一生立ち直れません。ツーリンは、あくまでハッピーピープル(怖いマンガではありません)の娯楽で、ドライブとは本質的に全く別物なのではないか。それで、大してハッピーでもないくせに、そんなことを呑気にしてしまった自分を、ナイスミドルの私は許せないのかもしれない。事実、今回の二度のツーリン中、私はずっと笑顔だった気がする。いや、終始、満面笑顔☺だったではないか!



恐るべしツーリン。


いや、ことの発端は、ツツガムシの本多が50歳になった瞬間、何を思ったのか、急に二輪免許を取得し、初代仮面ライダーの乗っていたバイク(本人談)を買ったところにあるのです。多分、コロナでストレスが溜まり、何かしないではいられなくなったのでしょう。それで、普通、売れない俳優なら、映画を撮ろう! とか、ハリウッドで勝負してくる! とか言い出しそうなまものですが、本多は、ツーリン行こう、ツーリン行こう、みんなでツーリン楽しいよ、ツーリン、ツーリン、行きたいな、と子供のように騒ぎ出し、「バイクなんか乗らねえ、寒くてかなわねえからな」なんて言っていた、「不動の心を持つ男」ツツガムシの田中の気持ちまでグラグラと動かし、高級バイクを買わせ、ツーリンを実現したというわけなのです。まあ、演劇も遊び、人生は遊び、という人間のエネルギーには敵いません。また、そういう波に飲まれるのは、まあ、心地よいものでもあります。



というわけで日帰り250キロ。


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