野田さん


しずむ日もながるる星もふく風も散る花も見ぬ春の空蝉


               十三


 野田知佑さんが亡くなった。15年ほど前に、野田さんが校長を務める川の学校のボランティアに何度か参加し、その謦咳に接する幸運に恵まれた。ただ、それきり川から遠ざかり、ご挨拶することもなく、川の学校の仲間とも、すっかり疎遠になってしまった。


 みんな元気だろうか。みんな野田さんが大好きだった。遊びの達人みたいな人たちの大親分。いや、半ば無理やり? 校長にされて、みんなに付き合っていたけれど、そういうのはちょっと気の毒な感じもした。仕方なく犬の相手をしているオオカミというか、出来ればさっさと旅に出たい。そんな目で遠くを見ている野田さんを思い出す。あんな大人がどんどん旅立ってゆく。


 いや、川ガキはちゃんと見ていた。あいつらなら、あんな美しい大人になるんじゃないか。夜、焚き火を囲んで野田さんのハーモニカに耳を傾けていた子供達の目は美しかった。何がホンモノで、何がニセモノか、あんな目になった子供に、川ガキに、分からないはずがない。


 野田さんや、姫野さんに会いに、また徳島に、第十堰に、必ず行こう。



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